保育士不足が叫ばれる中で潜在保育士に注目が集まっていますが、介護の世界でも同じように「潜在介護福祉士」が注目されています。
ここでは、潜在介護福祉士の概要、今後の展望についてご紹介します。
介護福祉士の資格を持ちながら、実際に介護の仕事に従事していない人のことを「潜在介護福祉士」と呼びます。
日本には現在約140万人の介護福祉士有資格者がいますが、厚生労働省による調査では、そのうち3~4割が潜在介護福祉士と言われています。
世界一高齢化が進む日本では、2025年には高齢者の数が3657万人に達し、75歳以上の後期高齢者も全人口の25%以上になる見込みです。
そうした中で、おのずと介護の仕事も増えていくことは想像に難くなく、慢性的な人手不足といわれる介護業界では、潜在介護福祉士に注目が集まっているのです。
せっかく資格を取ったのに別の仕事に就いたりと、潜在介護福祉士が介護の職場で働かない、あるいは働けない理由はどこにあるのでしょうか?
介護職の離職者に実施したアンケート調査では、離職理由第1位には「給与や労働時間などの待遇が納得できなかったから」次いで「自身の結婚・出産・転勤など」が挙げられています。
介護福祉士国家試験のデータに目を向けると、合格者の性別割合は女性約8割、男性約2割で推移しており、実際の職場でも女性が6~7割を占めるなど、介護の現場では女性が活躍しています。
このため、出産や子育てが仕事を続ける上でポイントになっているようです。
「きつい」「低賃金」といった悪いイメージが広まってしまっている介護職ですが、データを見る限りでは、実態が異なっていることが分かります。
厚生労働省による調査では、各産業平均と医療福祉職の離職率は共に16%前後です。
離職率が3割を越える宿泊業や飲食業といった業種もいくつかあることを考えると、介護職が「きついから人がすぐ辞めていく」というのも現実とずれのある認識だと分かります。
また、給与の面で比較した場合も、時給ベースで見れば介護職の給与は全産業平均値並かそれを越える値になっています。
しかしながら、介護職は年齢が給与に反映されにくいといった特徴もあります。
潜在介護福祉士に活躍してもらうためには、こういった給与の上昇と共に、家事や子育てとの両立がしやすい勤務形態といった改善が必要になるでしょう。