介護ロボットの開発は非常に推進されている状況にあります。
たとえば「公益財団法人テクノエイド協会」のホームページを見ただけでも、装着型のパワースーツ関連から移動補助ロボット、見守り機能関連、排せつや入浴をフォローするものまで、さまざまな介護ロボットが存在していることが分かります。
そして、パルロに代表されるようなコミュニケーション型のロボットも実売されているものも含めて複数あり、普及が始まっているようです。
こうしたロボットは、介護現場においては一定の効果が発揮できるものと期待されていますが、やはり現時点では介護の「サポート」の域を出ることはないでしょう。
ロボットとしての機能と人が行う専門性には、まだ共通点が少ないようにも感じられます。
介護ロボットとは言われていますが、活用方法はいろいろ考えられるようです。
たとえば筋力を補強、増強する「スーツ型」のものは、介護現場での移乗介助での利用が考えられる一方で、物販や農業での荷物の上げ下ろしでの利用も考えられています。
医療分野では、リハビリテーションの場面でも利用が検討されるなど、用途は広いように感じます。
また見守り関連も、初めから介護用に作られたというより、防犯の応用型や感知センサーの派生、ウェアラブル商品の応用など、いずれも別の用途から広がってきた印象があります。
パルロもそれらと同様に、もともと人工知能を搭載したロボットはさまざまな用途に利用できるものとして開発されてきたので、介護に特化して研究が進められてきたわけではないのでしょう。
こうしたロボットの製作過程を考えると、介護職を代替する存在としてではなく、作業を補完する存在として期待するほうが自然であるとも考えられます。
おそらくではありますが、SF映画や漫画に出てくるような人型に近い形状でスムーズに動き、しかも感情を理解して理想的な反応を示すようなロボットが開発されたとしても、介護職が無くなることはないでしょう。
いずれにしても、今のロボットが介護現場で実用化されるにはまだ時間が掛かりそうです。
見守り関連のロボットは専門性が必要ないので比較的普及しやすいように感じますが、コミュニケーションロボットは娯楽中心でおもちゃの域を抜け出せていない感じがあり、装着型のパワースーツも脱着時の煩わしさが残ります。
やはり介護という「仕事」で考えた場合には、細かい気遣いや温かさ、臨機応変な対応ができる人でなくてはなりません。
近未来に介護に関連する「作業」がロボットによって行われるようになったとしても、介護職は必要とされ続けることでしょう。