こころコラム

Vol.43 高齢者の入浴介助は念入りに! 入浴介助の手順とポイント

入浴は高齢者がリラックスできるだけでなく、血行促進や安眠などさまざまな効果があります。

また介助者にとっても、介助を受けた高齢者と打ち解けたり、人となりを知ることができる機会になるだけでなく、体調や状態をみる大事な時間でもあります。
ここでは、高齢者が安心して快適に入浴できるようにするための手順とポイントをご紹介します。

入浴前のチェック

➀バイタルチェック
入浴の際は、健康状態のチェックが欠かせません。
体温・血圧のチェックを行いましょう。
血圧は140/80が正常値です。
しかし、個人差もあるので前もって普段の健康状態をチェックしておきましょう。

➁状態観察
よく観察して、普段と違う点がないか確認します。
「疲れている」「元気がない」「食事の量が少なかった」「イライラしている」など、気分悪そうにしているときは、時間をずらすなどしてしばらく様子をみましょう。
入浴前に深刻な異変があった場合は医師・看護師に報告してください。

顔色や表情はもちろん、施設入居者の場合は部屋の状態もチェックして普段と違ったことはないか変化を察知するようにしましょう。

入浴介助の手順

➀脱衣所と浴室の用意
脱衣所は、少し蒸し暑いと感じる程度の温度にしておきましょう。
同じように、浴室も温度変化を小さくするために、シャワーを浴室全体にかけます。

チェアの座面に、タオルを1枚敷いて利用者の身体が直接触れないようにしてください。
チェア用のタオルがない場合は、座る前にシャワーをかけて温めておきましょう。
心臓や呼吸器系に持病がある場合は、あらかじめ熱めのシャワーを出しておき浴室を暖めておきましょう。

➁洗髪・洗身
介助者は必ずシャワーの温度を手で確認しましょう。
適温になったら「熱くないですか?」と聞きながら足先にかけます。

利用者の了解を得られたら、徐々に体上部、全身へとかけていきましょう。
洗面器があったら、足湯に利用して足先から冷えるのを予防してください。

洗髪するときは、頭皮に異常がないかよく観察しながら洗いましょう。
頭皮に赤みや発疹、かさぶたなどがあれば看護師に伝えてください。
頭皮はこすらずに、指の腹でマッサージするように洗います。

体を洗う際、皮膚にただれや痒みがある場合は石けんは使わずにシャワーで流す程度にしましょう。
手が拘縮している場合は、指1本ずつゆっくりと洗います。
痛みがある場合は介助者の手に泡をつけて手洗いすると良いでしょう。

➂入浴・退浴
チェアから立ち上がったら、まずふらつきがないか確認します。

利用者の足腰が弱い場合は「腰を支えていますよ」「足を上げるのお手伝いしますね」など声をかけて不安を取り除いてあげましょう。
その際は浴槽に浸かって腰をおろすまで、利用者の支えて欲しい場所を離さないことが大切です。

浴槽から出るときは「ゆっくりと立ち上がりましょう」と声をかけ、チェアに座ってもらい、かけ湯をしてください。
終わったら、浴室内で水気をよくふき取ってから脱衣所に出ます。

➃最後に
服を着終わったら、水分を少しずつ取ってもらいましょう。

このとき気分が悪くないか聞いたり観察してください。

入浴介助のポイント

入浴の際は床が濡れていないか、滑りやすくなっていないか・物が落ちていないかをチェックするようにしましょう。
また、利用者の皮膚の異常(打撲・火傷・裂傷など)は常にチェックすることも忘れてはいけません。
食事直後は血圧が低くなる傾向があるため、入浴はしてはいけません。

また、トイレを済ませたかどうかの確認も忘れずに行ってください。

入浴介助は利用者の健康状態を自然な流れで観察できる機会ですので、常に観察することを忘れずに行いましょう。
お風呂は誰でも爽快感やリラックスした気分になれるものです。
利用者にも同じように、リラックスしてもらえるよう丁寧な介助が大切です。

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