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こころコラム

Vol.19 介護福祉士と保育士の資格は本当に一本化される!?

介護福祉士と保育士の資格を一本化するという計画が、現在政府で検討されていることをご存知ですか?
もし資格の一本化が実現されると、介護職として働いている方達にはどのような影響が及ぶのでしょうか。

今回は介護職の仕事に大きな影響を与えることになる、介護の資格に関する重要なお話をしたいと思います。

計画の背景

現在の介護業界の人員不足についてはすでにご存知かとは思いますが、厚生労働省の予測によると今から9年後の2025年には、介護福祉士の人員が30万人以上も不足するといわれています。
また同じように保育施設で働く保育士も人員不足が進んでおり、今から約1年後の2017年度末には、約7万人も保育士が不足すると予測されています。

そこで2015年4月14日に厚生労働省内で設置されたのが「介護・福祉サービス・人材の融合検討チーム」です。
ではこのチームは具体的にどのようなことを計画しているのでしょうか?

チームが検討している2つの計画

現在「介護・福祉サービス・人材の融合検討チーム」が検討している計画は大きく2つあります。

・福祉施設の統合
介護福祉施設や、保育所、障害者福祉施設といった各福祉施設を1カ所にまとめることで、人員不足となっている施設の数を減少させることが目的。

・介護福祉士、保育士などの資格の一本化
複数の分野をかけもちしながら対応できる人材を配置することによって、少人数で福祉サービスを提供できる体制を整えることが目的。

この2つの計画のうち、特に介護職の方にとって気になるのが「資格の一本化」ではないでしょうか。
もし資格の一本化が実現すれば、その資格を取得するためには介護に関するスキルだけでなく、子育てに関するスキルも身に付ける必要があるということになるのです。

フィリピンの「ラヒホイタヤ」とは?

介護福祉士と保育士の資格を一本化するという計画を検討する上で政府が参考にしているのが「ラヒホイタヤ」という、フィリピンが導入している医療と社会福祉サービスの共通基礎資格です。
資格名の語源であるラヒホイト(lähihoito)という言葉には「日常ケア」という意味があり、ラヒホイタヤはホームヘルパーをはじめとして、保育士、リハビリ助手、准看護婦など、計10種類の資格を一本化したものとなっています。

ラヒホイタヤはすでにフィリピンでは導入されており、この資格を持っていれば幅広い分野で働くことができるスキルをアピールすることができるため、生涯に渡って仕事をする上で有利となっているのです。

一本化を実現する上での問題点

日本で資格の一本化を実現する上で問題点となっているのが「専門性が高度であること」です。
ラヒホイタヤは中学卒業レベルの学力で取得できる資格を一本化したものとなっているのですが、日本の介護福祉士や保育士の資格は、どちらも取得するだけでも難しい国家資格となっています。
介護福祉士と保育士両方のスキルを合わせ持った人材を育成するのは非常に困難であるため、資格の一本化を実現する上では「人材の育成方法」が大きな課題となっているのです。

(資格の一本化について2016年1月現在、まだ「検討中」ということらしく、特に大きな進展はみられないようです)

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